2008 年の金融危機を契機に、科学技術イノベーション政策は、雇用創出や経済成長への貢献が益々求められるようになってきている。このような世界的文脈を踏まえて、今後の政策立案にあたり、どのような情報やデータを判断材料にしていくべきかは試行錯誤の状況と言える。
そのような中で、EUでは、優先順位づけにフォーサイトを活用することを最近強化してきており、欧州委員会の研究・イノベーション総局内に、科学政策やフォーサイトおよびデータに対して責任を持つ部署“A.6 – Science policy,foresight and data”を創設している。
欧州議会の科学技術選択評価委員会(STOA)や欧州委員会の共同研究センター(JRC)においても、フォーサイトや社会科学の重要性を指摘しており、科学技術基本計画や科学技術イノベーション総合戦略を策定する我が国としても、このEU の活動は注目に値する。
そこで、本調査研究では、最近のEU におけるフォーサイトの取組に焦点を当て、取組の内容や実施体制等における特徴を整理するとともに、フォーサイトに取り組む人材に求められる知識やスキル等について解析し、今後の日本におけるフォーサイト活動に係る人材育成策や、人文社会系の研究者等を巻き込んだフォーサイトに関するプログラム設計のあり方などについて検討を行った。((一財)新技術振興渡辺記念会助成)
科学技術イノベーション政策の立案を支援するフォーサイト活用の基盤に関する調査研究