近代西洋医学は客観的で要素還元的な患者データを重視するのに対して、東洋医学では主訴や全身状態を表現する患者データを重視する。そのため、西洋医学的診断名と東洋医学的診断結果の関係は概して多対多となる。そのような東洋医療の治療効果に対して、西洋医学的な診断名のみによるRCT(Randomized Controlled Trial)評価を適用することは、不適切と言わざるを得ない。そこで、本研究では近代西洋医学診断と東洋医学診断の複雑な相関を、患者データに対する統計的手法による解析を活用しつつ明確化し、適切な評価手法のための基準構築を目指した。
そのための予備的研究として、本研究では、東洋医療として漢方医療を選定し、一定の西洋診断名患者に関して、医師漢方診断・薬剤処方(舌診、脈診、処方結果などを含むカルテデータ)を、テキストマイニングにより解析し、臨床経験に基づく効果的漢方薬剤処方での、西洋診断名と漢方診断結果の連関を導出し、新たな評価手法基準構築に資することを目的とした。