公益財団法人 未来工学研究所におきましては、2020年度外務省「外交・安全保障調査研究事業費補助金(調査研究事業)」の枠組みで、「我が国の経済安全保障・国家安全保障の未来を左右する新興技術に関する調査研究」を実施しております。
当該研究は、米国、欧州及び中国における合成生物学とニューロテクノロジーに関するR&Dの現状について把握し、これらの技術が、日本の経済安全保障と国家安全保障に与える影響について分析を行うことを目的とするものです。
これらの新興技術の研究は、米国と中国が他国を大きくリードしていますが、中国においては、これらの研究に対して巨額の予算を投じ、また、科学技術の軍民融合政策を推進してきたことにより、これらの民生用と軍用の研究がともに大きく加速していることが明らかになってきました。米国は中国のこの流れに対して警戒感を表すようになってきています。
一方、日本に目を向けると、米国や中国と比較して、これらの新興技術の研究に関する取り組みが大きく遅れています。
今回のセミナーでは、新興技術としてニューロテクノロジーをとりあげ、中国の新興技術研究や技術移転のアプローチに詳しい米国の安全保障研究者、並びに、脳とマシンのハイブリッドシステム(拡張認知)について研究されている米国の著名な神経科学者をお招きして、ニューロテクノロジー研究が経済・国家安全保障に及ぼすインパクトについてお話頂きます。
【開催要領】
■日時:2022年9月21日(水)午前10時~12時
■場所:オンライン開催(Zoom Webinar)※日英同時通訳つき
■主催:公益財団法人未来工学研究所
■参加費:無料
■定員:200名
■登録(Googleフォーム)はこちら
【プログラム】
- 10:00-10:10:主催者挨拶
公益財団法人 未来工学研究所主席研究員 多田浩之 - 10:10-11:20:招待講演
(1)「中国のAI・ブレインプログラム:人間とAIとの融合を目指すプロジェクト」
ジョージタウン大学研究教授、同大学安全保障・新興技術センター主席アナリスト
ウィリアム・ハンナス博士
(2)「米国におけるニューロテクノロジー研究の現況:最先端技術と将来社会に及ぼす影響」
ジョージタウン大学メディカルセンター神経科学科教授、同大学ニューロテクノロジーセンター共同ディレクター
マックス・リーゼンフーバー博士 - 11:20-12:00:ご講演内容に関する質疑応答
- 12:00:セミナー終了
【Webinarのお申込み方法】
Webinarのお申込みにつきましては、こちらのGoogleフォームからお願い致します。
締め切りは9月19日正午とさせて頂きます。
【講師紹介】
*ウィリアム・ハンナス博士(Dr. William Hannas)
ジョージタウン大学研究教授、同大学安全保障・新興技術センター主席アナリスト。
中国の新興技術や「超法規的」な技術移転に焦点を当てた研究を行っている。同センターに所属する以前は、中央情報局(CIA)のシニア・インテリジェンス・サービス(SIS)に所属。CIAでは、先端技術プロジェクトのエグゼクティブ・エキスパートとして任務に従事し、技術革新に与えられるマコーン賞を3度受賞。ジョージタウン大学では中国語の助教として中国語と韓国語を指導し、同時に外国放送情報局でアジア言語の出版物を監視する役割を担った。
中国史で学士号、中国語で修士号、ペンシルバニア大学から東アジア言語・言語学で博士号を取得。最近の主な著作物として、「Chinese Industrial Espionage: Technology Acquisition and Military Modernization (2013) 」(主著者)、「China’s Question for Foreign Technology: Beyond Espionage (2020)」、「Chinese Power and Artificial Intelligence (2022)」(以上共編者)がある。
*マックス・リーゼンフーバー博士(Dr. Max Riesenhuber)
ジョージタウン大学メディカルセンター神経科学科教授、同大学ニューロテクノロジーセンター共同ディレクター。
計算モデル、脳画像、EEG等を用いて、脳がどのように世界というものを理解するのか、また、これらの洞察をどのようにニューロモルフィックAIや拡張認知アプリケーションに反映させることができるのかを理解することを研究のテーマとしている。
1995年にドイツのフランクフルト大学で物理学の修士号を、2000年にマサチューセッツ工科大学で計算論的神経科学の博士号を取得。テクノロジー・レビュー誌の「TR100」(35歳以下でその技術が我々の世界に劇的なインパクトをもたらすと期待されるイノベーター100人)の1人に選定され、NSF CAREER Award(全米科学財団キャリア賞)を含めて数々の賞を受賞している。国立衛生研究所、全米科学財団、国防高等研究計画局、国防総省、産業界等から研究資金を受けている。