◆日本型ハイテク社会−21世紀◆

(開催趣旨)

 先進諸国はいま、第三次産業革命期に入ったところである。

 18世紀の最後の四分の一世紀からはじまった第一次産業革命は、近代的な製鉄その他の「物質」についての技術が開発されたことで特徴づけられる。その100年後に訪れた第二次産業革命では、電気という「エネルギー」が登場して、工業化社会の全面的な発展の条件を作った。第三次産業革命は、「情報」技術が新たな中核となって展開される。

 もちろん、第三次産業革命の担い手となる技術はそれだけにとどまらない。世のすべての事象は「物質」「エネルギー」「情報」で組み立てられる。いまや、それらのすべてが出揃った。それは、各分野の技術がお互いに刺激し合って一段と飛躍的な進歩を遂げる時期に入ったことをも意味する。新素材、新エネルギーの開発が最近注目されているのは当然なのである。つまり、第三次産業革命期とは、先端技術(ハイテク)の時代にほかならない。

 同時にもろもろの技術の多様な結合・複合・融合・総合の時代である。学際、業際、省際、あるいは融業といったことばは、これからの必然的な方向を指し示している。そこに多くの新しいビジネス・チャンスがあることも予感される。

 「総合」の典型は「生命」である。だから、ライフ・サイエンス、あるいはバイオテクノロジーに、どの領域からも強い関心が寄せられる。全体と個の調和といった意味を持つ「ホロニック・パス」もこの線上に生まれたことばである。それは新しい技術時代の基本的な性格を示す概念だといえよう。

 一方、先進諸国が新技術の開発を、経済再活性化の主要な手段として位置づけている事実が、先端技術の国際競争を激化させる結果をもたらす。国際関係の中で先端技術をとらえる視点も、今日の技術を考える際、見過ごせない。

 日本未来学会の1986年研究集会では、これらのもろもろの観点から、多角的に「ハイテク社会」を討議する。

  ・ 日時  1986年10月30日(木) 9:30〜17:30

  ・ 会場  経団連会館 国際会議場

  ・ 主催  日本未来学会

  ・ 後援  読売新聞社

  ・ 協賛  日本生産性本部

◇プログラム◇

   9:30  基調講演

        岸田 純之助 (日本総合研究所会長)

  10:00  プレゼンテーションJ

        「ホロニック革命−東洋と西洋の共生」

         石井 威望 (東京大学教授)

  11:00  プレゼンテーションK

        「先端技術における生物の意味」

         中村 桂子 (三菱化成生命科学研究所 人間・自然研究部長)

  12:00

  13:00  パネルディスカッションJ

        「先端産業の国際力学」

        (コーディネーター) 牧野  昇 (三菱総合研究所会長)

        (パネリスト) 唐津  一 (東海大学教授)

                上条 俊昭 (野村総合研究所副社長)

                小林 陽太郎 (富士ゼロックス社長)

  15:00

  15:20  パネルディスカッションK

        「ニュー・ビジネス・チャンス」

        (コーディネーター) 佐貫 利雄 (帝京大学教授)

        (パネリスト) 真藤  恒 (NTT社長)

                椎名 武雄 (日本アイ・ビー・エム社長)

                千野 ℃栫@(大和證券会長)

  17:20  閉会挨拶

        加藤 秀俊 (放送大学教授)


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